編集は “空気” をつくる仕事
- hirovideocreator
- 7月3日
- 読了時間: 6分
更新日:8月15日

映像制作の中でも、「編集」は想いや物語を “伝わるカタチ” に仕上げていく、とても大切な工程だと感じています。
よく「編集は料理の仕上げ」と言われますが、私にとっては “香り” や “ぬくもり” まで映すような時間。音や色、テンポを整えることで、作品に宿る空気や感情をそっと引き出していく──そんな感覚でいつも向き合っています。
今回は、編集という仕事をどんな視点で行っているか、全体の流れに沿ってご紹介していきます。
▼この記事でお話しすること:
「全体像の組み立て方」や「ヒアリング内容の反映」について触れています。
カット・音・色・テンポ、それぞれの工夫を通じて空気や感情を表現する方法を紹介します。
編集中に起こる “流れの再構築” について、どのように調整しているかを紹介しています。
完成映像には見えない、編集者として込めている時間や意図についてお話ししています。
編集の役割や意味、私がこの工程に込めている想いを最後にまとめています。
編集のはじめに考えること

編集に入ってまず私がやるのは、ざっくりと全体のタイムラインを組んでみること。ここでは “流れの骨組み” を把握し、編集の全体像を描いていきます。そのときに意識するのが「この映像はどこに向かっていくのか」というゴールの感覚です。
終わり方を軽くでも決めておくと、動画全体の流れが見えやすくなり、途中で迷いにくくなるんです。
加えて、ヒアリングで引き出したクライアントの想いや言葉が、どの場面に生きてくるかを再確認するようにしています。編集の最初の段階でこれを意識することで、映像全体がその想いを中心にまとまっていく感覚があります。
撮影したままの素材をそのまま使うと、どうしても動きや感情に変化が出づらくなることも。(もちろん、あえて長回しのまま使うことがベストな場合もあります)
そのときの空気や心情に合った編集をすることで、より伝えたい人に、まっすぐ伝わる動画に近づけていくことができます。
「空気感」を伝えるために意識している4つの技術的視点

空気感のある動画って、見ている人がその場にいなかったとしても、「まるでそこにいるように感じられる」ものだと思っています。
共感できたり、思わず見入ってしまったり──そういう没入感こそが、映像の魅力だと思うんです。
そんな空気感をつくるために、私が意識しているのが次の4つです。
1. カットの間と視点
どのタイミングで切るか、どの瞬間を残すか。
会話シーンでは話している内容だけじゃなく、相手が話を聞いているときの表情や、その場の空気を映すワンカットが、とても大きな役割を果たします。
2. 音(BGM・効果音)
シーンに合った音楽選びも、空気づくりに欠かせません。
明るい気持ちのシーンなら軽やかに。重たいシーンなら静かに抑えて。選ぶ音で、映像の感情の輪郭が変わってきます。
3. カラー(色のトーン)
その瞬間に感じていた気持ちに合わせて、映像全体の色味も整えていきます。
たとえば希望のあるシーンなら、少しだけ温かいトーンを。逆に、迷いや不安がある場面なら、あえてトーンを落とすこともあります。
4. テンポと余白
すき間なく詰め込むのではなく、あえて“余白”をつくることで見る人に「考える時間」や「感じる余白」をつくります。
その “静けさ” があるからこそ、感情が届くこともあると感じています。
※この4つの要素については、今後それぞれを深掘りしたブログも随時更新していく予定です。
タイムラインの組み方と、構成を調整する考え方

最近は短尺動画の流行もあって、どうしてもテンポ重視の編集が多くなりがちです。
でも私は、あえて “間” を残すことが、映像の深さや共感につながると考えています。
ほんの一瞬の静けさや、切り替えの前のワンクッション。
そういった「余白」があることで、視聴者が自分の感情と向き合える時間が生まれるんです。
また、効果音についても同じです。その場の空気を伝えるために必要な音は入れますが、入れすぎると逆に映像の世界から意識を引き離してしまうこともある。だからこそ、バランスを大切にしています。
構成に関しては、撮影前に立てたプランを基本にしながらも、実際に編集してみると「このシーン、前半に持ってきた方が伝わるかも」と気づくこともあります。
そういったときは柔軟に調整しながら、「より伝わる流れ」を探っていきます。
もちろん、あまり大きな変更になるとクライアントが思い描いていた流れから離れてしまうので、そういう場合はしっかり意図を共有して、一緒に考えるようにしています。
編集に含まれる “見えにくい価値” について

編集って、どうしても「見えづらい工程」だと思います。撮影や音楽のように目立つわけではないし、派手な演出があるわけでもない。だけど、伝えたい想いをどう映すかを、一番じっくり考えるのがこの工程です。
たとえば
「このカットは残すべき?」
「この間は伸ばした方が伝わる?」
と、見ている人の気持ちの動きを想像しながら、1つひとつ選んでいく。そうやって丁寧に積み重ねていくことで、言葉にしなくても伝わる “何か” が映像に宿ってくる気がします。
完成した映像には映っていない、でもたしかに込められた時間や手間。それも含めて「作品」だと思っているし、その空気が見る人に届くと信じています。
編集という仕事のまとめ

編集という工程は、ただ映像をつなぐ作業ではなく、どうすれば “想いが届くか” を1つひとつ丁寧に整えていく時間だと私は考えています。
感情の流れ、空気感、余白──そういった目に見えない要素をどう伝えるかは、編集に込めたひとつひとつの判断と手間にかかっています。
このブログを通して、そんな「映像の見えない部分の力」に少しでも触れていただけていたらうれしいです。
映像の編集には、技術だけでなく「人」が表れます。だからこそ、これからもブログを通して、私が大切にしている考え方や、仕事に向き合う姿勢も少しずつ発信していけたらと思っています。
もし
「自分の作品ももっと空気感を大切にしたい」
「想いを丁寧に映す映像をつくってみたい」
と感じた方がいれば、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの世界観や伝えたいことに合わせて、一緒にカタチにしていけたらと思っています。



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