構成づくりは“共感の設計”|ヒアリングから始まる物語のかたち
- hirovideocreator
- 6月19日
- 読了時間: 5分
更新日:6月26日

前回は、ヒアリングの時間がどれだけ大切かについて書きました。言葉にならない想いや、その人らしさに触れること。私は、その過程こそが映像の設計図になると感じています。
でも、どんなに深い想いも、ただ並べるだけでは伝わりません。そこに「どう届けるか」という設計があって、はじめて映像として届く。私は、ヒアリングで受け取った想いをどう構成すれば、無理なく、自然に、心に届くのかをいつも考えています。
今回は、そんな構成を組み立てる時間についてお話しします。
▼この記事でお話しすること:
構成づくりは、主題を見極めるところから始まる
ヒアリングで見えてきた“伝えたいこと”の軸を見極めることから、構成は始まります。
ヒアリングシートで、“らしさ”の輪郭を見つけていく
ヒアリングシートをもとに、言葉にならなかった部分を丁寧に整理していきます。
視点の選び方で、映像の印象はまったく変わる
能動的に語るか、受動的に映すか─視点の違いで生まれる印象の差について考えます。
パン屋さんの例から見る、構成の考え方
具体例を通して、主題や視点の選び方がどのように構成に影響するのかを紹介します。
構成とは、“共感を設計する”ということ
構成づくりに込めている想いや、私が大切にしている姿勢をまとめます。
構成づくりは、主題を見極めるところから始まる

ヒアリングが終わったあと、私がまず行うのは主題の見極めです。伝えたい対象が「人」なのか、「モノ」なのか、それとも「出来事」なのか──この軸を明確にすることが、構成づくりの第一歩です。
主題があいまいなまま進めてしまうと、完成した映像がどこか散らかった印象になってしまいます。そしてもう一つ、主題を明確にする理由は、最終的な“視聴者=届けたい相手”をはっきりさせるためです。
クライアントにとって納得のいく映像にするのはもちろんですが、それ以上に、「誰に届けたいのか」を明確にしてこそ、真に伝わる映像になると私は考えています。
ヒアリングシートで、“らしさ”の輪郭を見つけていく

その上で私は、ヒアリング時に使用した独自のヒアリングシートを見直します。このシートには、クライアント自身が語った価値観や背景、そして自覚している強み・弱みが記録されています。
ただし、私が注目するのは“表面的な情報”だけではありません。会話のなかにあらわれた無意識の言葉や間(ま)、空気の変化、口調の揺らぎといった、潜在的な部分まで丁寧に拾い直します。
この作業によって、クライアント自身も気づいていなかった“らしさ”や、本当に伝えたい核が、少しずつ浮かび上がってきます。構成は、そこから自然とかたちになっていきます。
視点の選び方で、映像の印象はまったく変わる

映像をどう語るか、という視点も大切にしています。私は、主題を「能動的に描くか」「受動的に描くか」をよく検討します。
たとえば、はっきりと自らの想いを語ってもらうことでストレートに伝える方法もあれば、あえて語らせず、その人のしぐさや間から想いをにじませる方法もあります。
どちらが「らしさ」をより引き出せるか──その選択が、映像全体のトーンや印象を決定づけます。
パン屋さんの例から見る、構成の考え方

たとえば、昔ながらの商店街の一角にある小さなパン屋さん。看板も控えめで少し見つけにくい場所にありますが、地元の人からは「あのコッペパンのお店」として親しまれています。特に、昔ながらのコッペパンは長年のファンが絶えない看板商品。けれど近年の物価高で価格を上げざるを得ず、新規顧客の獲得に悩まれていました。
もしこうしたお店から動画制作の依頼があった場合、私はまず次のような選択肢を検討します。
商品(コッペパン)にフォーカスする
日々パンを作るスタッフの手仕事に焦点を当てる
お店のオーナーの想いや歴史を軸に描く
地域のファン目線で「親しまれる店」として表現する など
構成の可能性はいくつもありますが、どの切り口が最も効果的なのかを見極めるためには、ヒアリングで得られた情報と私のヒアリングシートの分析が欠かせません。
ときには、オーナーが語った何気ない一言が核になることもあります。あるいは、スタッフの“ある朝のルーティン”が、物語の導入になることもあります。
こうした要素を組み合わせながら、私は「伝えたい想い」と「届けたい相手」をつなぐ最適な構成を設計していきます。
構成とは、“共感を設計する”ということ

必要であればインタビューの有無や質問内容も調整しますし、シーン全体をリアルなドキュメントとして進めるか、あるいは伝わりやすくするために演出的な構成を加えるかの判断も行います。
構成づくりとは、単なる「順番の設計」ではなく、感情の流れをつくり、共感を生むための設計作業だと私は考えています。
ヒアリングで受け取った“言葉にならない想い”を、映像という手段を使って、誰かの心に自然に届くかたちに翻訳する──それが、私の構成づくりのスタイルであり、信念です。
「伝えたい想いはあるけど、どう形にしていいか分からない…」そんな方は、ぜひ一度お話ししてみませんか?お問い合わせだけでも歓迎です。


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