ビデオグラファーという生き方|後編
- hirovideocreator
- 8月7日
- 読了時間: 5分
〜好きだけでは、超えられない壁がある〜

〜“やりたいこと” に向き合った先にあった、覚悟と揺らぎ〜
映像をつくる意味も、自分の目指す方向も、ようやく少しずつ見えてきた。
けれど、「本気でやりたい」と思った瞬間から、今度は “続ける” ということの重さがのしかかってくる。
走り出した先に待っていたのは、理想と現実のギャップ。
このままでいいのかと迷う日も、映像を撮る意味を見失いそうになる瞬間もあった。
でも、その迷いの中にこそ、確かにひとつの “答え” があったように思う。
今回の後編では、自分の現在地と真剣に向き合った日々、そして揺れる気持ちの先で選びとった “決断” について綴ります。
「伝えること」への恋が、覚悟を生んだ

自分自身がどんな映像をつくっていきたいのか、その方向性が見えてきてからは、トライアンドエラーの繰り返しだった。
たとえば、「この人の魅力はどの構成でいちばん伝わるだろう?」と考えながら、ドキュメンタリーのように丁寧に見せるべきか、それともシネマティックに印象で語るべきか、毎回悩んだ。
画角ひとつ、色味ひとつにも意味を込める。
「なぜこのアングルなのか?」
「この編集でその意図は本当に伝わるのか?」
と自問しながら、何度も組み直した。
色で温度や感情を表現するということにも挑戦していた。
青く静かな色で孤独を、赤く温かな色で情熱や安心を、そんなふうに「映像の空気」をつくろうとしていた。
映像の構成、撮影、編集──どうすれば「伝えたいことが伝わるのか」を求めて、色んな文献を読み漁り、学んだことをひとつずつアウトプットしていく日々。
ありがたいことに制作の依頼を受けたり、自ら撮影したい人たちに声をかけたりして、実践を重ねていった。
「映像で生きる」と決めた、その瞬間

そんななかで、私のなかにひとつの明確な目標が芽生える。
「日本とカナダ、2つの拠点で映像制作者として生きていけるようになりたい」
本気でそう思えるようになっていった。
そのために、まずは個人事業主としてしっかり収入を得られる力をつけること。
そして、カナダの永住権取得に向けて、さらに英語力を高める必要があった。
やると決めたら、やり切る性格。
それは自分がいちばんよく知っている。
やることは山積みだったけれど、目指す未来に向けて──私は静かに走り出した。
日々のほとんどの時間を
① 映像制作
② スキルアップ
③ 英語学習
この3つに全力で注ぎ込んだ。
情熱を注ぐほど、何かを置いていった気がした

そんな日々の中、ふと疑問が生まれる。
「なぜ、私は今ウィスラーにいるんだろう?」
スノーボード、マウンテンバイク、ハイキング──自然を満喫するアクティビティに囲まれたこの街で、私は以前のようにそれらを楽しむことがなくなっていた。
20歳のときから続けてきたスノーボードが、何よりの情熱だった。
けれど、その情熱は映像制作へと移っていった。
それでも、ほかのアクティビティすら遠ざけてしまった自分に、どこか引っかかるものがあった。
「このままでいいのだろうか?」
でも、自分が本当に成し遂げたいことがあるなら──甘えは許されない。
怠けてしまう自分も知っている。 そして普通の努力では “普通の人" で終わってしまう。
だからこそ、迷いながらも、私はまた前に進んだ。
少しずつではあったが、映像の腕も上がり、英語力も確実に上がってきているのを実感していた。
「このままではいられない」と思った日

そんなとき、カナダ政府が移民政策に大きな制限をかけるという発表があった。
永住権の取得が、今現状はほぼ不可能に近い現実に変わってしまったのだ。
「何年もかければ取得の可能性はある」
でも、本当にそこまでの時間をかける意味があるのだろうか?
──自分が本当にやりたいことは、どこでできるのだろう?
カナダという土地は、自分の性格にも、ライフスタイルにも合っている。
ここで安定すれば、きっとまたウィスラーという街も楽しめるようになるはず。
でも、どうすればいい?
またもや、選択の分かれ道に立たされてしまった。
何度も問い続けた先に、ひとつの“答え”があった

「どうすれば、“なりたい自分” に一番近づけるのか?」
何度も自問した。
ノートに書き出し、心の声に耳を傾け、日常に問いを投げ続けた。
不安もあったけれど、見ないふりはもうできなかった。
どこかで覚悟を決めなければ、前にも進めない気がした。
そして──私は、あるひとつの決断をした。
「たとえ、この選択が茨の道だとしても、私はカメラを手放せなかった。」
思い出したのは、初めて映像をつくって “誰かの心が動いた瞬間” だった。
あの静かな衝撃が、今もずっと、自分の中で生き続けている・・・
【次回予告】
言葉の先へ──想いを映像に込めて その答えは、映像の中にある。
この冬、私は1本のドキュメンタリーを発表する予定です。
その作品には、私の過去、現在、そしてこれから進む未来が、静かに編み込まれています。
言葉だけでは語りきれなかった想い─ そのすべてを私は映像で届けたいと思っています。
動画公開まで、もうしばらくお待ちいただけたら嬉しいです。
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“ビデオグラファーという生き方" シリーズを、読んでいただきありがとうございました。
このブログシリーズはひと区切りとなりますが、私のブログはこれからも続きます。
次回からは映像制作や日々の学びについて、また別の視点から綴っていきたいと思います。
また読みにきていただけたら、とても嬉しいです。
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