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ビデオグラファーという生き方|中編②

  • hirovideocreator
  • 7月24日
  • 読了時間: 5分

更新日:8月16日

――スマホ1台から始まった、映像への本気

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〜スマホで撮った“ただの動画”が、自分の背中を押してくれた〜

自分のYouTubeチャンネルを始めてみたものの、何を撮ればいいのかわからなかった日々。手探りの中でつくった最初の映像、届いたひとことのコメント、そして小さな挑戦。


「このまま終わりたくない」その想いが、やがてひとつの決断へとつながっていきます。


今回の中編②では、スマートフォン片手に始めた映像制作から、映像の “本気” に触れ、

自分の手で未来を選びとっていくまでの道のりを振り返ります。




  1. “とりあえずやってみた” が、映像の入り口だった


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YouTubeを始めてみたものの、何を撮ればいいのか、正直よくわからなかった。

でも、「ただ楽しむだけじゃなくて、将来につながる何かをつくってみたい」そんな想いが、ぼんやりと頭の中にあった。


それなら——いつか地元を紹介したいなら、今いるこの街・ウィスラーを紹介すればいいんじゃないか。


そう思って、まずは学校のフッテージを使って、ナレーションを重ねて、1本の動画をつくってみた。


うん、悪くはない。でも、どこか物足りなかった。


「もっと自分らしいものが、きっとあるはず」そんな気がしていた。



  1. スマホでも、映像って作れるのかもしれない


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スマホひとつで、かっこいい映像って本当に作れるんだろうか。正直、半信半疑だった。

そんなとき、ふと目に入ったのは、海外の映像クリエイターによるオンライン講座の広告。


「スマホ一本で、映画のような映像を。」


心が少しだけ動いた。

「英語の勉強にもなるし……」そう思って、講座を申し込んだ。


内容は全編英語。

専門用語も多くて、最初はまったくついていけなかった。


でも、何度も、何度も、繰り返し見た。


少しずつ理解できるようになって、それを真似しながら、自分なりの映像をつくってみた。

完成した動画を見て、ふと思った。


「あれ?なんか、ちょっとシネマティックかも。」


まだ全然下手だったけど、「ちゃんと伝えよう」と思って撮った映像には、自分の気持ちがちゃんと乗っていた。



  1. “初めてのコメント” がくれたもの


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そんなある日、動画に初めてコメントがついた。


「かっこいいビデオだったよ。この調子でがんばってね!」


たった一言。だけど、それがとても嬉しかった。


「自分の作った動画が、誰かに届いたんだ」それだけで、すごく救われたような気がした。


——もっと、伝えてみたい。——もっと、人の心に届くような映像を作ってみたい。

そんなふうに思っていたとき、あるショートフィルムコンテストの広告が目に入った。


「地域の魅力を伝える、3〜5分のショートフィルムを募集します。」


“これだ” と思った。迷いはなかった。



  1. スマホで、渾身の一本を


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テーマ、構成、撮影、音楽、効果音……すべてを1から考えて、スマホひとつで渾身の一本を作りあげた。


使える機材は限られていたけれど、「今の自分にできるすべて」を詰め込んだ。


構成も編集も、試行錯誤を重ねてきたつもりだった。

だからこそ,「これは絶対いける」と本気で思っていた。


そして、数週間後。突然、通知が届いた。


「あなたの作品がファイナリストに選ばれました。」


やった。これはもう、優勝するしかない。

そう信じて、胸を高鳴らせながら試写会の日を迎えた。


……けれど、会場で他の参加者の作品を見た瞬間、胸の中にズシンと重いものが落ちた。


「自分、全然足りてなかったんだ。」


映像の世界の“本気”を知った日。

その日は、努力や過信をすべて引き受けて、自分の “今” をまざまざと突きつけられた日だった。




  1. “撮れなかった”夜の悔しさ


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季節が変わって、日本に一時帰国していたある日。

夜に行われる祭りをスマホで撮影しようと、カメラ片手に出かけた。


でも——あまりの暗さに、まったく映らなかった。

ライトもない、ほかの機材もない。


「せっかく来たのに、撮れない……」そう思ったら、なんだか悔しくて、泣きたくなった。


「自分が撮りたいものが撮れない」


その現実が、心に刺さった。

それからしばらく、撮影から少しずつ距離を取るようになった。


「スマホだから仕方ない」と、自分に言い訳しながら。


編集に集中するようになったのは、撮ることに自信が持てなくなっていたからかもしれない。



  1. “思い出させてくれた動画” との出会い


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撮らない日々が、ゆっくりと積み重なっていった。


そんなある日、何気なくYouTubeを眺めていたときに出会った、ひとりの映像クリエイターの動画。

地域の風景、人の営み、そこにある感情——

ていねいに、温かく切り取られたその映像に、心が震えた。


「ああ、これだ! 自分が本当にやりたかったのは、こういうことだった。」


編集だけじゃなく、ちゃんと「撮りたい」そして、自分の手で「伝えたい」

それなのに、「スマホじゃ無理だ」と決めつけて、何も撮らずに止まっていたのは、自分だった。


だったら——もう、買ってしまおう。



  1. ミラーレスカメラを手にした日


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「スマホじゃ無理だ」と思っていたけれど、本当は、自分の覚悟が足りなかっただけかもしれない。


やっぱり、ちゃんと “撮りたい”


そう思わせてくれたのは、あの映像たちだった。

だったら——もう、言い訳はやめよう。


気づけば、購入ページを開いていた。


「これで前に進める」じゃない。

「これがなきゃ、もう進めない」と思っていた。


退路を断つように、私はついにミラーレスカメラを購入した。


箱を開けたとき、手のひらに伝わったその重さが、これから進む道を、静かに示してくれているように思えた。


いつか、このカメラでしか撮れない瞬間に出会えると信じて。



【次回予告】

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。


この中編②では、スマホで始めた小さな挑戦が、いつしか “本気の映像制作” へと変わっていった過程を振り返りました。


次回の中編③では、カメラを手に入れたことで広がった景色と、新たに挑んだフィルムコンテスト、そして、人と出会いながらつくりあげていく “映像” の楽しさと難しさを綴ります。


また読みにきていただけたら、とても嬉しいです。


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